iPhoneの技術は何一つのとして独創的ではない。

そう聞くと、多くの人は(何言ってんだスマホで世界に革命を起こしたのではないか?)と言う。

確かに、iPhoneを初めて世に生み出したのは故スティーブジョブズ氏の功績でしょう。しかし、そこに搭載されている技術の殆どが国が資金提供して生まれたものだったとしたら驚くかもしれない。タッチパネルもSiriもリチウム電池も・・。

本書「企業家としての国家」は、世間一般に言われている常識を覆して、本当のイノベーターは国家ではないかと説きます。

●目次。

序 説 何か違うことをやる
第1章 危機管理論からイノベーティブな役割分担へ
第2章 テクノロジー、イノベーション、成長
第3章 リスクをとる国家
第4章 企業家精神に富む国家アメリカ
第5章 国家の力で実現したiPhone
第6章 緑の産業革命 積極策か消極策か
第7章 風力発電と太陽光発電 -国家政策の成功例とエネルギー危機における技術開発-
第8章 リスクとリターン -腐ったアップルから真の共生型エコシステムへ-
第9章 リスクは社会に、報酬は企業に -国はリスクを取ったにもかかわらず利益を享受できないのか?-
第10章 結論

●感想。



世間一般的に言うと、アメリカでイノベーションを起こした要因として(ベンチャーキャピタル)の存在が挙げられます。Googleを支援したのも、Appleを支援したのも、フェイスブックを支援したのもベンチャーキャピタルだと思っている。

逆にサッチャー的理論で言えば国家こそイノベーションの阻害要因だと思っている人も多いです。

日本でGoogleが生まれない理由をベンチャーキャピタルが積極的な投資をしないからだ・・という人も多いです。

しかし、Appleの技術の大半の基礎は国が多額の資金(何兆円や何十兆円単位)を提供して生まれたものです。代表的な例で言えば、インターネットは元々戦争時の通信手段として開発された。

有名な話として、AppleとMicrosoftの訴訟の際に裁判官が言った(あなたがたの技術はどちらもパロアルト研究所からパクったものでしょ?)という話もあります。

本書によれば、ベンチャーキャピタルは最後の最後で美味しい所を持っていって我がもの顔でふんぞり返っているという。ベンチャーキャピタルは本当にリスクを負った投資はしない。

製薬に関しても殆どの基礎的な研究は国が行っている。最近の製剤会社は基礎的な研究を止め、儲かるジェネリック薬品に投資転換。そして、余ったお金を自社株買いという形でウォール街の投資家に還元している。

クリーンエネルギー産業を含めて、本書では世間的一般に言われている企業崇拝。そして、民営化すれば全てが上手く行くという価値観に真っ向から反発する。そして、国さえしっかりしていれば企業は後から付いてくるとさえ言える。

(※もちろん、それでも新自由主義的な価値観が掲げる人は多い)

ただ、一つ言える事は株式会社というのはそもそも社会に貢献するためではなく、所有者である株主に利益を還元するために存在している。その辺の兼ね合いも難しいです。

企業家としての国家・・視点が面白かったです。おすすめです。
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