少し前になるけど、アメリカの写真フィルム大手である「コダック社」がチャプター11を発動して経営破綻した。80年代〜90年代に時代を謳歌し、利益は数千億円規模になっていた。しかし時代は2000年代にデジタルカメラの普及によって、現像とフィルムという主力事業に大打撃を与えた。年率数%ならともかく、年率で数十%という驚異的な加速度で低下していった需要。

しかし、アメリカの大手が衰退する一方で、日本の写真フィルム大手「富士フィルム」はコダックとは違う戦法を使っていた。(※元々の社名が「富士写真フィルム」だったものを「富士フィルム」に変更。この事からも分かるように、富士フィルムの主力事業は既に写真ではなくなった。)本書は簡単に言えば、富士フィルムの第二創業を社長自らが綴る本です。

Amazonのレビューなどを読むと「リストラをして事業整理をしただけだっ!」という批判もあるけれど、その批判は全て業績が物語っている。たぶん、富士フィルムも「写るんです」の好調に甘えて写真フィルムに依存していれば、倒産していたかもしれない。じゃあ今の本業は何か?というと、写真現像の技術を使ったその他の事業という事になります。

例えば、液晶テレビに使われるフィルムであったり、最近では松田聖子さんのCMでおなじみの化粧品。最近では、エボラ出血熱に効果のある新薬といった具合に幅広事業を出かけている。著者であり富士フィルムの古森重隆社長は「アメリカの企業は株主のために短期で利益を増やす必要がある。富士フィルムは長期で考えている」と綴っています。

SoftBankの孫さんじゃないですが、やはり戦略的にシナジーを考えて買収する経営者は優秀だと思います。

ただ一つ本書の問題があるとすれば、本書は驚くほどつまらない。何か経営論めいた事が書いてあるわけでもなく、第二創業の裏話が書いてあるわけでもない。どこか、「俺ってすごいんだぜ!」と思われても仕方ない感じ。後半においては、強引に日本の未来を語るという構成。これだけの功績なのに、もったない。

とりあえず、富士フィルムの社長の話に興味が無ければ、業界地図を買って、売り上げと売り上げ構成をちらっと見るだけでOKだと思います。あっちはオールカラーで1000円ですから、お得感ありますよ。
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