アップルの素晴らしいデザインと言えば、アップルにおいてデザインを統括する「ジョナサン・アイブ」なわけです。iOS7からフラットデザインになったのも彼の功績だという。iPadもiPhoneも彼がデザインした。去年の年末に本の発売を知って、ついに出たかっ!と待ちに待って発売初日に速攻で買いました。400ページを越える圧倒的な文量。ワクワクしながら読み進めました。

でもね、はっきり言ってがっかりです。たぶん、2015年のがっかり本大賞1位です。確かに、ジョナサン・アイブを物語の主題に選んだ事は間違ってない。でも、これはデザインの本ではなく、アイブを題材にしたアップル史なわけです。ボクが望んでいたのは、「デザインを学ぶ物必読っ!」となるアイブなりのデザイン哲学ですよ。

例えば、この部品を使う時は、、とか、この形の設計する時は、、とかね。もう一つ残念だった事は、アイブの人生があまりにも有望だという事です。ジョブズは幼少時代からぶっとんでいたわけですよね。ヒッピーだったり、菜食主義だったり。アップルを起業してからも、初代アップルで時代の寵児となる。そして、ジョン・スカリーを「一生砂糖水を売り続ける気かい?それとも世界を変えるか?」と誘ったのに、そのスカリーにアップルから追放される。そして、iPodやiPhoneのヒット。そして、これは伝記に載っているGoogleのAndroidに対して「アップルの全財産と水爆を使っても追放してやる」という言葉。何より、ジョブズの伝記は主人公であるジョブズが亡くなっている事。全てが揃っているわけです。

じゃあアイブはどうなのか?というと、割と順風満帆な人生なんですよね。幼少の頃からデザインに興味があった事は確かにそうでしたが、大学に普通に通い、大手のデザイン事務所に勤める。そして、仲間と起業。その後、アップルに誘われるわけです。ジョブズ復帰以前こそ悶々とした雰囲気が流れてますが、ジョブズが復帰してからは画期的なデザインを次々に発表する。本書を読むと、どうしてもiPodやiPhoneがさらっと完成したように思えない。

はっきり言うと、アップル史はもう散々読んだわ!という事です。

例えば、「アップル帝国の野望」という本はアップルのサプライチェーンにスポットを当てたという意味で意義があるわけです。

でも本書はどうもワクワクしない。

結局、製品のデザイン秘話が文章で語られているだけであって、デザインの本ではない。

本音を言えば、デザインに関しするアイブのインタビューを載せた方がよっぽど価値がある。
最後にこんな言葉で本書は締めくくられてますが、最後のは奇麗に終わってます。
「アップルは非常に注意深くブランドのDNAを作ってきたが、それが呪縛となり変化を妨げている」。(中略)「アップルは傍流から主流になった」それがジョニー(※アイブ)の葛藤だとミルトンは見ている。

デザイン学校の最近の卒業生たちはジョニーの美観に抵抗しているからだ。「ジョニーはエスタブリッシュメントになった」とミルトンは言う。

「自分を一から作り直せるか?それとも時代に取り残されるか?ジョニーにとっては悩ましいところだ。アップルは新たなデザイン言語を開発しなければならない。それはどのようなものだろう?ジョニーがアップルを次のレベルに引き上げる力を持っていることは間違いない。だが、それがなにより難しい挑戦であることも事実だ」
アメリカでは星5つの評価が多いけれど、何か納得できないわ、、。
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