ある意味で、この本は自分の置かれた立場によって変化する本だと思います。例えば、20代前半で就活中という人にとっては目から鱗的な事が沢山書かれている。でも一定期間、会社に勤めてしまうと「えっ?これって正解なの?」という思いを抱かざる終えない。

本書を強引に要約すれば、現代の「学問のすすめ」的な本だと思いました。「人間は平等なのではない、学問をする事で差が付く」というのは、福沢諭吉の思いですが、本書の中で「ゲリラ戦を展開せよ」という言葉は衝撃的。様々な物が世界的にコモディティ化する中で、その中で生きて行くための処方箋が綴ってあります。

●知的獲得コストは下がってる、ただしコモディティ的な知識で、、。

インターネットで英語が学べる「レアジョブ」。フィリピン最難関のフィリピン大学の学生から英語を直接学べるて毎日25分、月5000円で英会話が学べる事で注目を集めるサービスですが、世間が言う新三種の神器「英語・IT・会計」。

一昔であれば、それができるだけで重宝がられたけれど、英語にしてもITにしても、今となっては殆どの人が「ワード・エクセル・パワーポイント」を使える。それだけで勝負する事は難しい。MBAにしても、資格だけなら国内で獲得可能。スキルがあるから仕事が貰える時代ではない。

それを象徴する話として、京大の医学部でもワーキングプアという話が紹介されてます。

でも、これはコモディティ化された知識という意味で、もっと深層のスキルに関しては引く手あまただったりするわけです。知識がコモディティ化されたからこそ、より深い知識は求められていると考えるべき。本書では「スペシャリティ」という言葉で説明されています。

●金を儲ける手っ取り早い方法=「略奪」。

1800年代のアメリカで最も手っ取り早くお金を稼ぐ方法は「海賊」だったという。そして、時を経て物を生産して稼ぐ方法が定着していく。日本が得意としていた「擦り合わせ生産」という方法。一つ一つの部品を極限まで精度を高める事で製品の品質を上げて行く方法。しかし、時代は既に「擦り合わせ生産」を望んではいなかった。日産がその昔、「100分の1の精度から1000分の1の精度」というスローガンを上げたけれど、既に100分のでも1000分のでも一般ユーザーには分からない。

そこに数穴を開けたのが、日産のカルロスゴーン。精度ではなく、室内のインテリアやカラーに拘った。そして、日産をV字回復させた。物はどんどん安く、そして効率的に。本物の資本主義が日本にも到来しつつあるわけです。

●日本で生き残る4つのタイプと、生き残れない2つのタイプ。

儲かる儲からないには6つのタイプが存在するそうです。

1.商品を遠くに運んで売ることができる人。(トレーダー)
2.自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人。(エキスパート)
3.商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人。(マーケター)
4.まったく新しい仕組みをイノベーションできる人。(イノベーター)
5.自分が起業家となり、みんなをマネージ(管理)してリーダーとして行動する人。(リーダー)
6.投資家として市場に参加している人。(インベスター=投資家)


この中で「トレーダー」と「エキスパート」に関しては、今後、無くなって行くのではないか?という主張もあるわけです。例えば、一昔前であれば、現地の情報は現地でしか知る事ができなかった。でもネット社会の今、ネットを介すれば世界の情報が瞬時に手に入れる事できる。

対して、エキスパートも、専門の知識を持っているものの、爆発的なスピードで成長する技術に適応する事ができなけば、容赦なく切り捨てられる存在。

例えば、広告代理店で言う営業という存在も企業の広告費の削減や綿密なデータ分析によって、存在意義を問われているわけです。

●リベラルアーツを学び投資家的に生きよう。

リベラルアーツつまり、大学で言う1年〜2年目の基礎教養を差す言葉ですが、1800年代にアメリカに上陸したピューリタンたちが将来のリーダーを育成するために教えていた(のちのハーバード大学)ように、世間で言う「英語・IT・会計」は奴隷として会社に仕えるための知識であって、本当の武器を手に入れるためには、この「リベラルアーツ」が大切だと言います。

社会に出てから本当に役に立つのは、ネットにも本にも書いてない自分が心から学んだ知識なのです。

●感想。

20代向けという事もあって30代以上が読むと「えっ?」と思うかもしれませんが、大学やサラリーマンにどっぷり浸かっている、その一方で現実に悲観的な思いを抱いている人にとって参考になる事が沢山書かれています。売れる本は2種類あって、話題で売れているのと、本当に良い本の2種類ですが、これは確実に「良い本」だと思います。
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