大前氏の本は数多くあるが、やはり最新の情報が知れるという意味において、新刊を買っても損はないと思う。拡大する政務債務や、台頭するクオリティ国家など、時代は大きく変わりつつある。日本が世界有数の経済大国であるというのは事実だが、現時点で1人あたりのGDPではシンガポールに抜かれる状況にある。少子高齢化が進み、ますます市場か先細る中で、我々はどうすればいいのか?本書的に言うと、この本を読めば、日本の現状と未来が分かるという事なのかもしれない。





●「日本病」克服の唯一のカギとは?



冒頭、ジャック・アタリ氏との対談が興味深い。公的債務の解決策としてアタリ氏は(増税・歳出削減・経済成長・低金利・インフレ・戦争・外資導入・ディフォルト)を挙げているが、債務の膨張前に対処して破綻を回避した例は少ない、という。債務を次世代に残すのではなく、増税によって債務の改善を進める事を薦めている。資産に1%、5〜10%の付加価値税を導入する事で、今と同等の税収が得られるという大前氏。



●3500万円持って死んで行く事が幸せなのか?



今、日本にある多くの資産は「高齢者」が持っているとされている。その総額1500兆円の1%が仮に市場に流れただけで、15兆円の資産効果がある。大前氏は本書でアベノミクスに否定的なコメントを綴っているが、10兆円の経済対策よりも、こちらの方が効果があるという。世間的に景気低迷な民主党政権の置き土産とされているが、実際は自民党政権の中でもGDPは殆ど成長していない現実がある。「家を500万円でリフォームして、領収書を持ってくれば税金は納めなくていい」という発言は面白い。



●観光立国は夢のまた夢。



本書の中で面白かった話。例えば、日本のホテルに行けば、1泊2食付きというものも少なくない、これが日本人にとっては普通だが、例えば、朝の決まった時代、夜の決まった時間だけしか食事ができない。本当は、外で美味しい物を食べたいと思っていても、それが実現できないのではダメ。その上で海外の若い女性が見たいものは観光地ではなく、渋谷の109だという話も興味深い。



●「都構想」「道州制」変人特区が日本を変える。



これは大前氏の著書で、それこそ「平成維新」の頃から提唱していが、世界的に見ると関西だけを取っても世界4位の経済規模を誇る。例えば、一部では道州制導入によって地方と都市部の格差が生まれるという指摘もあながち間違いではないが、九州だけを見ても世界的には上位の経済圏になる。今までの霞ヶ関に陳情するだけではなく、自分で考えて行動する「変人」が必要なのだという。それが大前氏風に言うと「変人特区」だったりする。



●用が済んだ組織は廃止する。



これはシンガポールではそうだが、最初は国が主導していたとしても、役割が完了すれば、その役所は解体されるか民営化するという流れがある。日本でそうしろ!というのが大前氏の提案だが、例えば農業従事者が減ったとしても、農林水産省の役人が減るわけではない。確かに、歴史的に見ると官僚の貢献度は高いのかもしれない。しかし、時代に合わない役割は解体するべきという主張もある意味では正しい。
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