新 大前研一レポート
新 大前研一レポート
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大前 研一
講談社
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大前研一氏が約20年前に著した本。普通、本というのは小説を除いて時代が変わるごとに変化していく。当時は斬新だったりすごいと思っていた事が、時代の風化と共に古くさくなっている。しかし、大前研一氏の本に限っては例外なようだ。諸処の時代錯誤、データの古くささはあるが、今、書店で販売されても十分に通用する。本書の魅力は何と言っても大前氏か考える79の政策だ。提言と言っても過言ではないが、20年前に時代を見通していた。逆に、20年間日本は変わらなかった事に仰天される。

最近は衆議院選の一票の格差が違憲だとされている。大前氏は究極的には大選挙区制。人口30万人に対して1人の議員。そして、現在の国会議員を250人ほどに削減する。道州制を実現して、権限の大部分を道州に移行する。それが大筋での大前氏の考える未来の縮図だ。今やスマホが日常に普及しているが、93年当時の技術では電話の声紋を使って個人情報のロックを解除するという部分は、さすがに20年も経過すると、時代錯誤はある。

選挙権を本人の意思で授与する。逆に、被選挙権は大人になってから、10年以上の納税経験のあるものに限るという提案がされている。今でもそうだが、道路工事に関しては僕も同意見だ。水道業者が掘るかと思ったら、次は電力会社、次はガス工事など、利用者にとっては甚だ迷惑だ。「ユーティリティー法」と名付けていますが、この原因は大前氏が言うには利権だという。それぞれにお抱えの業者がいて、そこに便宜をはかっているそうだ。江戸川沿いを再開発して、100平米を基準に2000万円台で提供する。洪水など有事が心配だが、それはそれでその覚悟を持った人が住めばいい。という点については、やや強引な印象を受ける。想像税を廃止して、資産に対する1%を課税する。世界税を導入し、道州の収入の一定割合を国に上納するという制度だ。車検も緩和する、国家公務員試験も廃止する。

本書出版から20年が経過したが、未だに道路では何度も工事が行われ、道州制も導入される気配がない。最近では、大阪の橋下市長が「日本維新の会」と名前を付けて、道州制を導入しようと奮闘しているが、やはり誰かが強烈なリーダーシップをとって、それこそ独裁者のように鉈を振っていかないとダメなのかもしれない。大前氏は政策などを考えるのは上手いが、国民の大半が未だに(2013年現在)改革の意識を持たない、未だに我々は中間層だ。と思っている人が多いのではないか?未だに学生の大半がいい大学に入って大企業に就職する事を夢見ている。親もそう思っているのだろう。しかし、SHARPやパナソニックがそうであるように、大企業であっても潰れる危険はある。もはや20世紀の価値観は古新聞のように紙くず。天ぷらを揚げる時にしか役に立たない。

国家が弾けても自分には関係ない。自分の預金さえ守ればいい。国家が変わらない以前に、国民が変わらない。本で考えたり、友達と政治談義を行う。そんな日常が訪れる日を待ちわびる。
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