投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)
藤野 英人
講談社
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皆さんはお金を稼ぐ事に対して、どんなイメージを持っているだろう?日本人の多くが抱いている感覚として「お金を稼ぐ奴は何か悪い事しているんじゃないか?」「お金を稼ぐ事は悪だ」といっものがある。株式投資はギャンブルという認識も以前消えない。その象徴が時代の寵児となったのがホリエモンにおけるライブドア事件だったりする。本書「投資家が「お金」よりも大切にしていること」では、そんな日本人のお金の価値観に対して、ファンドマネージャーである著者が本当にお金を稼ぐ事。健全なお金の教養を教えてくれる。今、お金=悪だと思っている人には少し衝撃的で刺激的な内容かもしれない。

日本人は資産の約55%を預貯金などの回している。さらに、藤野氏が日本が世界で最もケチな民族というようにアメリカが数十兆円の寄付が行われているのに対して、日本ではたった7000億円しか寄付されていない。1人あたりに換算すると、2500円になる。東日本大震災で日本人の寄付意識も変わったと思うが、それでも寄付は前年の倍に留まっている。それを踏まえた上で、「日本人はハゲタカ」だとも言っている。アメリカの投資ファンドが日本の「ブルドックソース」の買収提案をした時には法的手段を使って買収を阻止した。その一方で日本人は海外の市場が有望だというと、真っ先に投資する。それは、ブラジルであったり中国でったりする。ブラジルには短期間で8兆円近いお金が投資された。しかし、いざ悪い兆しが見えると真っ先に投資を引き上げる。本書で日本人はお金について何も考えていないというが、まさにその通りだと思った。

インドの実業家に「あなたにとって成功とは何ですか?」という質問をした答えが興味深い。
たぶん、日本人だったら「お金をいっぱい貰って大きい家を建てる事です」といった月並み答えが返ってくるでしょう。
私の成功とは、長期的な人間関係を築いて、人に奉仕することだ
藤野氏は著書の中で「清貧」という言葉を使っている。日本人がお金大好きお金を儲けたいという思いを口にできない理由を、言葉の解釈の間違いだという。「理念に生きるために、あえて豊かな生活を拒否する」という思想が、「豊かになるためには、理念を捨てなければいけない」という考え方に変わってしまったのだと説明する。日本人が目指すのは清貧ではなく「清豊の思想」だと説明している。

本書の一番のポイントは何か?と言えば、結局、投資って何なの?お金って何なの?という部分に集約されると思う。投資とは何なのか?藤野氏は、こう説明する。
投資とは、いまこの瞬間にエネルギーを投入して、未来からのお返しをいただくこと
最後に、こんな言葉を綴って本書を締めくくっている。
あなたは、自分の人生を、社会に投資している、ひとりの投資家なのです。(中略)

あたなは、金より信じられるものがありますか?
あたなは、お金よりも大切なものがありますか?
お金についての間違った見解を正しくしてくれる良書です。お金儲け=悪だと思っている人には、いい処方箋となると思います。お金を稼ぐ事は悪ではない、その資金を使ってより多くのこと、単純に言えば1本150円のペットボトルのお茶だって、流通や生産に至る隅々にまでお金がいきわたっている。ただお金を稼いで豪遊して、「俺、金持ちやねん!」だったり下位層を批判するのは違うと思った。本書を読むと、すごく消費に対して前向きになれるような気がします。最後の星海新書らしい終わり方も印象的です。
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