600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書)
上阪 徹
角川SSコミュニケーションズ
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午後4時がアクセスのピーク。今や若い主婦の4人に1人、600万人が利用している料理レシピの共有サイトである「クックパッド」。本書「600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス」は、そんな世界最大級のレシピサイト「クックパッド」のビジネスに迫った本です。おもしろいです。ただのレシピサイトかと思ってましたが、そこには最新のテクノロジーと運営側の情熱が籠っている。クックパッドはレシピサイトではなく、テクノロジー企業なのだ。

クックパッドの設立は他のIT企業に比べるとは早い1998年だ。創業者である佐野は、この事業を考えたきっかけとして大学時代の野菜販売の経験があるそうだ。「食は人を笑顔にする」そんな思いを胸にクックパット事業を立ち上げる。しかし、クックパッドが収益化するのは、もう少し先になる。大学生だった佐野は、一度、就職をするか就職せずに起業するか悩んだそうだ。「就職したらお金の保証がなくなる怖さを味わってしまう」という理由から、就職せずに起業する事を決意する。

クックパッドはテクノロジー企業だと書いた。実は、クックパットのシステムは全てが自社で開発されている。日本生まれのプログラミング言語でる「Ruby」をいち早くシステムの開発に使用した。検索へのレスポンスへの拘り。徹底したアクセスログの解析。クックパッドを訪問した人が驚くのが「あっけらかん」としたデザインだろう。あるのは「レシピを見る」「レシピを投稿する」に特化している。これは時間に追われる主婦に対する配慮だそうだ。投稿画面もその配慮がされている。投稿のし易さは勿論の事、撮影した写真もクックパッド側で自動的にトリミングやリサイズして一番見栄えのいい写真に加工してくれる。ただ、テクノロジーだけを追い求めるのは禁物だと言う。
高い技術があったり、優秀なエンジニアを揃えていながら、結果が出せない企業もある。結果を出せている企業と出せない企業、何が違うのかといえば、そのゴール設定なのかもしれない。なんのたるに技術を使い、そのサービスで何をするのか。その目標設定が意外にされていないところが少なくないのではないか。佐野もいう。

「動画サービスを立ち上げたい、という企業の声も聞きますが、なんのためにそれをやるのか、こそがと重要なわけです。動画サービスというのは、手段なんです。なんのために、その手段を用いるのか。それがなければ、サービスは作りようがない」
本書はクックパッドの事業を紹介する一方で全ての労働者に何のために仕事をするのか?という事を問う。一昔前はお金のため。家族のため。という答えが無意識のうち、たぶんサイレントマジョリティだった。しかし、時代は変わった。自分は何ができるのか?そして何をしたいか?今やYouTubuやブログで稼ぐ、人よってはそれで生計を立てるのが日常的になった。もう労働者がお金のための奴隷になる時代は終わったのかもしれない。クックパッドは「食で人を笑顔にする」というコンセプトを旗印に今日も走り続ける。仕事に悩んでいる人、これから起業しょうとしている人には興味深い。ただ主婦向けではない事はここで言っておこう。レシピは一つも紹介されていない。
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