衆議院選も近いので、政治に関する本を何冊か読んでいます。ここ10数年での政治の大きな流れとして、「小泉・竹中路線」というものがあります。表向きは、徹底的な規制緩和と自由化。裏向きには、格差拡大と弱者切捨てと捉えられている。その批判に真っ向から反対表明するのが、本書「2時間でいまがわかる! 日本経済こうすれば復興する!」。基本的な構成としては、前半で小泉・竹中路線を肯定しつつ、後半では消費税や社会保障に関するウソを暴く。竹中さんは様々な著者やインタビューなどで「小泉・竹中路線は間違っていない」という事を常々言っているが、個人的に言えば「終わった事を、そこまで肯定する必要があるのか?」とも思ったりする。

ただ経済学者という立場で、分かり易く説明するという点では、やはり上手いと思った。序章で「複合連鎖危機」の時代に突入したと説明する。「復旧・復興・改革」を一体化してシームレスに行われなければならない、と指摘する。未曾有の赤字や財政危機に新しい日本を作る事ができれば、日本の価値(Value of Japan)を一気に高める事ができる。

日本人の多くが「日本は世界の経済大国」だと思っている。しかし、1人あたりのGDPで見ると、世界で20位に過ぎない。1位のルクセンブルクと比較すると約2.5倍の差がある。Aクラス、Bクラスで見ると確実にBランクに位置づけられている。貿易輸出に関しても、日本人は世界の「ものづくり大国ニッポン」だと思っている。僕もそう思っていた。しかし、日本のGDP(2010年に約540兆円)のうち、ものづくりが生み出すのは25%前後。日本の輸出依存度は17.4%。中国の半分もない規模になっている。その上で竹中さんは、「問題は、日本の外需が大きすぎることではなく、内需が小さすぎること」と指摘します。

小泉・竹中路線への賛否は読者によって様々かもしれない。規制が緩和された事でダメージを受けた産業としては、「タクシー業界」が挙げられるが、そういう人には何を言っても否定的な意見が返ってくるかもしれない。消費税よりも「デフレ」を解消する。デフレになれば給料は減るが、物価も下がるのでトータルで考えると、マイナスは無いと思われている。しかし、デフレであっても変わらないものは「過去の数字」。簡単に説明すれば、ローンや借金などの数字は変わらない。円高などを止めるためにも、デフレからの脱却は必須だと説明する。

最後に、竹中さんは日本を復興するプランを、こう提示している。

1.「短期的にやるべきこと」復興特需を引き出しつつ、デフレを克服せよ!
2.「中期的にやるべきこと」経済成長シナリオを作り、実行せよ!
3.「長期的にやるべきこと」与野党は野合せず「安心国家」の20年ビジョンを構築し、国民に選択させよ!

本書のタイトルに「2時間でいまがわかる!」とあるが、たぶん、この本を2時間で読んで理解できたら、相当な経済通だと思った。所々に経済用語などが混じっているので、少し難解な点はありますが、この本を読めば今、起こっている政治の問題について大体理解できる。まぁ確かに、偏っているとか「違うだろ!」という意見も多いと思います。池上彰さんの著書の方が分かり易さで言えば勝っていると思いますが、「こういう見方もあるんだな」という点で本書は有意義だと思います。
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