今や、テレビ番組でソーシャルゲーム(GREE&モバゲー)の広告を見ない日は無いといっても過言ではない。一時期の異常なまでの広告宣伝に比べると、コンプガチャの禁止後にGREEは極端に減ったが、最近は明石家さんまさんと武井咲さん出演の「釣りスタ」のCMが大量に投下されている。多くの人が思う事だけれど、何故、無料のゲーム会社が上場一部の大企業以上に広告を出稿する必要があるのか?

実は、ここにはソーシャルゲームが抱える根本的な問題が隠れていると思っています。

簡単に説明すれば、無料でゲームを提供する一方で有料のアイテム課金で収益を上げている…と説明すれば納得できると思います。釣りスタで言う「釣り竿」が一番理解し易いと思います。それまでのゲーム業界は「任天堂」に代表されるように、ハードとソフトの売り上げで収益を出していました。そこに革命を起こしたのがソーシャルゲームでした。低コストの開発費、人件費とサーバー費と宣伝費しかかからない。利益率が50%近いと聞けば、誰もが驚くでしょう。

●少年週刊ジャンプが広告を出さない理由。

少年ジャンプと聞けば大抵の男の子、殆どだと思いますが一度は読んだ経験があるのではないでしょうか?「ワンピース」「ナルト」「こち亀」と日本を代表する超人気雑誌です。ウィキペディア情報によれば2012年の発行部数は約300万部だと言われています。最盛期「ドラゴンボール」や「スラムダンク」などが連載されていた当時の最高記録が約650万部だと聞いていますが、それでも現在、日本を代表する漫画雑誌である事は間違いありまん。

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ウィキペディアより出典。

発行元である集英社には1週間で約300万部。1冊が240円ですから、約7億円。年間で約86億円の売り上げがある事が分かります。これにコミックスの売り上げも加算されるわけですから、集英社にとってジャンプビジネスがいかに重要であるかが分かります。

ところで皆さんは、少年ジャンプのCMを観た事はありますか?
ドラえもんなどでコロコロコミックのCMを観た事はあるけど、そういや少年ジャンプの奴はみた事ないな…。最近ではテレビ東京の「サキよみ ジャンBANG!」でジャンプ作品の紹介はあるものの、全国放送でジャンプのCMは観た事ないな…という方が大半だと思います。でも実は、数十年前にはジャンプのCMが流れていた時期があります。流れていたのは1991年頃らしいです、YouTubeに動画が投稿されています。



では何故、最近の少年ジャンプはCMを流さないのか?
当然の如くCMを流した方が発行部数は増えるはずです。コミックスの売り上げも伸びて相乗効果も得られるばず。でも発行元である「集英社」は宣伝をしないのか?ここにソーシャルゲームと漫画雑誌の大きな違いがあると思います。簡単に箇条書きで説明します。

・そもそもジャンプ自体で利益がでていない。240円という価格で利益が出ない。
・そもそも認知度が高いためコマーシャル効果が薄い。
・子ども同士の口コミ効果の方が高い。
・コミックス読者との相乗効果がある。
・漫画とメディアミックス自体が宣伝。
・読者層が限定されている。

などが考えられます。ただ、同じ200円台でも「TVガイド」や「ザ・テレビジョン」などが全国ネットでCMを流していた事を考えると、利益が出ないという説も疑う可能性もありますが、とりあえず広告を出さなくても約300万部売れるという認知度の高さは驚きです。「ワンピース」のコミックが出版部数400万冊を記録した事も記憶に新しい。あそらく10代〜20代前半がメインターゲットだと思うのですが、この口コミ力には驚かされます。友達同士で「今週号のジャンプ読んだ?」といった会話が安易に想像できます。

●ソーシャルゲームが広告を出す理由。

グリーやモバゲーが大量に広告を出稿しています。「釣りスタ」「進撃のバハムート」などテレビを観ていたら1日に何度も観ると思います。最近のデータによれば、銘柄別では全企業中でグリーが2位にランクインしています。

銘柄

株式会社ビデオリサーチコムハウス

何故、これほどまで大量の広告を出稿する必要があるのか?それは40%、50%という高い利益率を背景に登録ユーザー数を増やす事、結果的にアイテム課金収入を増やす事が目標であります。その結果、たった数年で売り上げ高1000億円を超える巨大企業が誕生したわけです。でも僕の中では、ソーシャルゲーム会社が広告を出す理由は別にあるのではないか?と思っています。つまり、高い収益率を誇るには大量のテレビコマーシャルを出す事が必然になっている。ある意味でテレビの魔力に操られた勇者のようではないかと。

それは、ソーシャルゲームにおける登録者の年齢層に関係してくると思います。

ソーシャルゲーム

Business Media 誠:ソーシャルゲームのすごい仕組み(1):急伸するソーシャルゲーム市場 (3/3)

この年齢層を見るとテレビとソーシャルゲームの相性が良い事が分かります。しかし、その一方で10代に比べると20代や30代以上の世代の口コミ効果が低いのではないかと思うのです。10代なら学校で「ねぇねぇあのゲームやった?」で口コミが拡大していきますが、20代、30代になると、友達関係も薄くなり、なかなか「グリーのあのゲーム面白いよね?」といった行動が取り難くなてくるのではないでしょうか?特に、30代以上はゲームをやる事に後ろめたい気持ちがあると思います。僕が個人的に思っているのは、
ソーシャルゲームはソーシャルではない
という事です。本当の意味でソーシャルゲームがソーシャルであるなら、広告なんて展開せずとも利用者は集まってくるはずです。ある意味で日本のソーシャルゲームは、ソーシャルではなく「ソーシャルっぽいゲームの集合体」であると思います。

以下、箇条書きで説明します。

・広告を大量投下する事で利益が急上昇。
・広告費が有料課金に対して割安だ。
・サービスの普及とブランドの強化が同時に行える。
・ターゲットは20代から30代以上。
・ソーシャルゲームは自前で利用者を増やすのは難しく、テレビ広告が重要な集客源。
・20代、30代の口コミ効果は薄い。
・グリー、モバゲーの会員数3000万人は人口の4分の1。10%が利用するだけで300万人の巨大ゲームが誕生する。
・ゲームに本当の意味で魅力があるなら広告に100億円出す必要はないのではないか?
・新ゲームを開発する度に大量の広告を出さないと会社やネット上で交流のない20代、30代のユーザーにリーチできない。ある意味で無理矢理リピーターを増やしている現状がある。

でも本当の意味でソーシャルなのは、「少年ジャンプ」なのかもしれませんね。
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